税理士試験は税理士に必要な学識及びその応用能力の判定を目的とし、毎年7月下旬から8月上旬に科目別に実施されます。合格科目は生涯有効となる科目合格制で、会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)全2科目及び税法に属する科目(※1)全9科目のうち3科目(※2)の計5科目を合格して初めて税理士試験合格となります。
※1 税法に属する科目とは、所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税をいいます。
※2 法人税法又は所得税法のいずれか1科目の合格が必須となります。
1.受験資格
令和5年度の税理士試験(第73回(予定))からは、
⑴ 会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)
受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験が可能となります。
⑵ 税法に属する試験科目
下記⓵~⓸のいずれか1つに該当する必要があります。
⓵ 資格による受験資格
イ 日商簿記検定1級合格者
ロ 全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。)
ハ 会計士補
ニ 会計士補となる資格を有する者
⓶ 学識による受験資格
イ 専修学校の専門課程(注)を修了した者等で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
(注) 修業年限が2年以上かつ課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。
ロ 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
ハ 大学3年次以上の学生で社会科学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
ニ 司法試験合格者
ホ 旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者
ヘ 公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。)
ト 公認会計士試験短答式試験全科目免除者
⓷ 職歴による受験資格
次の事務又は業務に通算2年以上従事した者
イ 弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士の業務
ロ 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
ハ 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
ニ 税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
ホ 行政機関における会計検査等に関する事務
ヘ 銀行等における貸付け等に関する事務
⓸ 認定
国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者
2.試験科目
※注1 法人税法又は所得税法のいずれかの合格が必須となります。
※注2 次の科目はそれぞれ1科目ずつしか受験できません。
① 消費税法と酒税法 ② 住民税と事業税
※注3 太字が当校で開講している科目となります。
【受験プラン(複数科目受講)について】
科目合格制である税理士試験は、多科目受験で短期に合格を目指す方法はもちろん、1科目ずつマイペースに学習を進めることもでき、様々な受験プランを立てることが可能です。その反面、受験期間が長期になりがちで、合格に向けてのモチベーションをいかに持続していくかが最も重要な課題になります。このため、インプットとしての講義をキチンと修得し、体得した知識を基にアウトプット演習をいかにこなし、そして、その後「修得した知識」をいかに維持していくか。つまり、常に学習目標を提示し続け、受講生のモチベーションを持続させてくれるスクールに身を置き、学習する環境を整えることが大切なのです。このような点を踏まえ、短期合格を目指す受験専念型を選択する方は、初年度から複数科目を受験する2年間での受験プランをお勧めします。もちろん、3年以上の期間で計画している方であっても、毎年着実な成果を残せるよう、複数科目受講がお勧めです。
3.各科目の説明
(1)会計科目
簿記論
他の税法科目とのつながりも深く、税理士試験において、基本となる科目です。主に商業簿記を中心とした計算問題が出題されます。
財務諸表論
会計の前提となる、企業会計原則(理論)、会社法や金融商品取引法などの関連法規とこれに定められている財務諸表の表示形式などを学びます。記述問題と計算問題が半々で出題されます。
(2)税法科目
法人税法
法人所得に対する税額計算及び当該計算の基となる税法理論が出題されます。昨今の企業取引の多様化に伴い、課税制度が複雑化し、学習範囲も膨大なものとなっています。
所得税法
個人所得に対する税額計算及び当該計算の基となる税法理論が出題されます。給与・事業・不動産・利子・配当・雑所得など、各所得形態によって異なる税額計算を正確に処理する能力が試されます。
相続税法
相続、遺贈及び贈与に対する税額計算及び当該計算の基となる税法理論が出題されます。相続人の判定など、民法等の知識を必要とする側面もある上、相続財産の評価などについての正確な知識も求められます。
消費税法
物品やサービスの国内消費に対して課される消費税額計算及び当該計算の基となる税法理論が出題されます。また、取引ごとの課税・非課税の区分、仕入税額控除制度などについての正確な知識も求められます。
※注この他の科目は、受験者が極端に少なく、一般的な税理士業務として必要とされるものではないため、CPAでは講義を実施していません。従って、説明を割愛させていただきます。
4. 合格基準
税理士試験の合格基準点は各科目とも満点の60%です。ただし、主な科目の全国平均の合格率は例年10%前後で推移しており、実質的には相対的な合格基準により判定されているといわれています。
税理士登録
税理士として業務を行うためには、税理士になる資格を有した後に(税理士試験に合格等し、かつ、実務経験2年を必要とします)、日本税理士会連合会へ申請を行い、税理士名簿への登録を受けなければなりません。なお、実務経験は試験合格の前後を問いません。
複数科目の選択例
2科目選択
① 対象者:日商簿記2級修了者で、週4日の受講が可能な方。
② ポイント:例:簿記論・財務諸表論の2科目選択
税理士として働く上で基礎となる会計をCPA独自の学習法により「考える力」と「会計的センス」を身に付けながら、この2科目を連動させて効率的・効果的に学習することで、簿記論、財務諸表論の2科目1発合格を目指すことができます。
3科目選択
① 対象者 日商簿記2級修了者で、週6日の受講が可能な方。
② ポイント (例:法人税法・所得税法・相続税法の3科目選択)
税理士業務において重要度の高いこれらの税法科目を一括して勉強することにより、税理士合格とともに、「できる税理士」を目指せます。
この税法3科目を関連させることにより、学習量が多い科目を効率的・効果的に学習を進めることができます。また所得税法、法人税法では規定の半分程度が重複しており、この2科目については能率よく学習が進められるため、理解を一層深めることができます。